@article{oai:omu.repo.nii.ac.jp:00001836, author = {岡本, 武之}, issue = {3}, journal = {大阪府立大學經濟研究}, month = {Jul}, note = {application/pdf, 最近の欧米では,失業率が戦後最高の水準を記録し,アメリカ一国でも1,000万人を超える失業者を出すに至っている。インフレーションと国際収支の悪化というジレンマに起因するアメリカ政府の緊縮財政および金融引締政策が,単にアメリカ一国に止まらず,世界経済の同時的不況を招いたといえなくもない。しかし,先進資本主義社会における同時的不況現象は,一方では,社会的諸目的間における比重の変化-失業よりもインフレーションの方が一層悪いとする社会の価値観の転位,他方では,財政・金融政策を支える経済学的思考方法における混乱をもたらしている。しかも,先進資本主義諸国においては,単にインフレーションと失業の克服という課題に止まらず,財政規模の肥大化に伴う赤字財政状態の恒常化に対して,財政再建が今一つの解決されるべき問題としてクローズ・アップされて来ている。実は,ここでも,財政政策をめぐる,需要管理型のケインジアンと供給重視型のサプライサイダーズとの間に,思考方法における顕著な対立がみられる。いわゆるケインズ政策の一つとみられる雇用改善のための政府支出拡大の効果は,ケインジアンによって財政乗数という概念をもって説明されて来た。しかし,財政再建が要請されるような状況では,その政府支出拡大に見合う税収をも図らねばならない。この時,税収増を導くための政策として,ケインジアンの立場では増税が不可避となるのに対して,サプライサイダーズはラッファー理論にもとづいて減税政策を主張する。そこで,本稿では,ケインジアンの財政政策をめぐる思考方法に何らかの欠陥が認められるのか否かを明らかにしようと思う。ケインジアンの思考方法に対する批判は,マネタリストやサプライサイダーズとの単なる立場の相違の問題として片づけることはできないよう思われる。けだし,インフレ鎮静が最重要課題であるか否かはともかく,増大しつづける失業者を政府がいつまでも放置しうるものではなく,また巨大化した政府の非効率を行政改革をもって排除し,財政再建に資するべきことはいうまでもないが,それのみでは財政再建に十分ではないばかりか,混合主義経済の将来を展望するとき,今日の赤字財政状態もまた既に政府の放置しうるものではなくなっているからである。ケインズ『一般理論』において与えられた「乗数理論」の財政政策論への応用において,ケインジアンは何をやったのか,われわれはその経済学的思考方法の正当性を問い直してみることも今日の経済的および経済学的環境に照らして意義あることと思うのである。, 大阪府立大學經濟研究. 1982, 27(3), p.18-26}, pages = {18--26}, title = {思考方法におけるケインズとケインジアンの差 : 財政の乗数効果をめぐって (谷山新良教授還暦記念号)}, volume = {27}, year = {1982} }